第35回日本リーグ
2010-2011 Season

大会の見所

第35回日本ハンドリーグ SEASON 2009-2010

 上位陣の実力接近で混戦模様に
 〜第35回日本ハンドボールリーグ 9月4日に熱戦スタート! 〜

 第35回日本ハンドボールリーグの開幕が間近に迫ってきた。9月4日熊本での男子・トヨタ紡織九州−琉球コラソン戦を皮切りにロングランの戦いがスタートする。
 男子8、女子6チームが参加するレギュラーシーズンの男子上位4チーム、女子3チームによるプレーオフ(3月12、13日、東京・駒沢体育館)で優勝が争われる。
 男子2回戦、女子3回戦総当たりで行われるレギュラーシーズンは、途中に千葉国体(9月30日〜10月4日)、全日本総合(男子・12月22〜26日、女子・1月19〜22日)のほか、中国でのアジア競技大会(11月12〜27日)、カザフスタンでのアジア女子選手権(12月19〜24日)、スウェーデンの世界男子選手権(1月13〜30日)と国内外の大会によるブレイク期間があり、とくに女子は11月から来年2月5日まで試合のない変則日程となっている。
 レギュラーシーズンを全14週で終えるコンパクトな編成で争われる今リーグ。前回はリーグ1位の大同特殊鋼が5連覇を達成、女子はリーグ3位のソニーセミコンダクタ九州が逆転で初栄冠を獲得した。プレーオフ決勝は、ともに1点差の激闘で会場の興奮がエスカレートした。
 まずはプレーオフをめぐる争いに注目が集まるが、男子はV6を狙う大同をはじめ、トヨタ車体、湧永製薬、トヨタ紡織九州の前回4強に、大崎電気を加えた5チームによる切符争奪戦となるのは必至。とくに前回5位に甘んじた大崎はスペインでの武者修行から戻った宮﨑のほか学生界から有力ルーキーを迎え入れ、7月の全日本実業団選手権で優勝を飾って好スタートを切っている。チームの大黒柱だっともあれ例年に増して激しい順位争いが展開されるのは間違いない。第2グループと目される豊田合成、琉球コラソン、北陸電力も力の差は紙一重で、競り合いの中でどこまで上位との差をつめるかに期待がかかる。
 女子はソニー、北國銀行、オムロンが今シーズンも上位3強を形成しそうだ。この3チームのプレーオフ進出は3年連続のこと。ソニーは全日本実業団選手権も優勝して絶好調だが、北國、オムロンもライバルの意地にかけて進撃ストップを図るはずだ。いずれにせよ3チームによる激しい先陣争いから目が離せない。このあと広島メイプルレッズと三重バイオレットアイリスの2チームが追走する図式となるが、両チームが上位陣から白星を奪う展開になれば、さらに順位レースはもつれたものになってくる。HC名古屋は連敗記録(現在51)からの脱出が大目標となる。

 

大同特殊鋼

 男子リーグ記録の6連覇に挑む大同特殊鋼。焦点はなんといっても前回限りで戦列を離れた白元喆の穴をどう埋めるかだ。攻守にわたって抜群の技量を誇った大黒柱の代役を務めるのは容易ではないが、末松、武田、岸川、地引らの奮起はもとより、千々波、渡久川、山城、野村、GK東ら中堅、若手陣のさらなるレベルアップでカバーしたいところ。新体制となって『個の自立』をテーマに掲げてきた清水監督は「リズムが悪い時にどれだけ踏ん張ることができるかが勝負の分かれ目になる」と厳しい戦いに臨む決意を新たにした。

トヨタ車体

 前回は初のリーグ2位となり、プレーオフ決勝では大同と1点を争う激闘を演じ、準優勝に甘んじたとはいえ、強烈な存在感を示した。鍛え抜かれたフィジカルの強さをベースにして戦うのは今回も同じ。門山、高智、銘苅、北出、香川、石戸ら重量級のバック陣に、新人ながら攻撃のテンポを変えられる木切倉が加入したのはプラス材料。ディフェンス力を増したポスト藤田、サイド崎前、鶴谷、佐々木らの力も計算できる。GK陣は木下、甲斐のコンビにベテラン坪根が控える。コンビプレーを織り交ぜたスタイルが確立できればグッと頂点が近くなる。

湧永製薬

 11年連続プレーオフ出場とコンスタントな実力には定評がある。ディフェンスの中央を福田、今井、山中、木村といった190 ㎝クラスの大型選手で形成する“ 湧永山脈”は今年も健在。松村、志水のGKコンビを軸にした手堅い守りに加え、攻撃ではエース東長濱、ベテラン古家、新鋭・谷村らが積極的に得点を狙い、ポスト、サイドとの連携で勝機を見出していく構え。監督、コーチを含めた16人体制とあって、長丁場のリーグでケガなどのアクシデントをどう乗り越えていくか、コンディショニングのいかんもチーム浮沈のカギを握る。

トヨタ紡織九州

 新キャプテン村上(秀)、呉相民、石黒、GK松野らベテラン陣に中畠、藤山、海道らのエネルギッシュな攻守を織り交ぜ、ハイスピードなハンドボールを展開。7月の全日本実業団では、昨シーズン限りで引退した阪、鶴田のセンターバックが抜けたことで得意とする4:2ディフェンスが仕上がらず、3:2:1シフトを主体とした戦いを余儀なくされた。今リーグから守りの要として期待される西端、松信の成長が不可欠。60分間フルに変則ディフェンスでプレッシャーをかけ、走りきることができれば2年連続の旋風が期待できる。

大崎電気

 6年連続のプレーオフ進出を逃した前回の屈辱を晴らすべく心機一転。シーズン初めの全日本実業団に優勝を遂げ、絶好のスタートを切った。2 年目を迎えた岩本監督のもと『Continue(継続)』をテーマとして“For the TEAM”“Thinking HANDBALL”を旗印に掲げて今リーグに臨む。キャプテン永島をはじめ、GK浦和、前田、豊田、猪妻、横地、岩永、小澤といった新旧のメンバーに、スペインでの武者修行で一段とプレーに輝きを増した宮﨑、そして東長濱、石川らのルーキーが加わる布陣は豪華。6年ぶりのV奪還へ前進あるのみだ。

豊田合成

 リーグ参入10年目を迎えた昨シーズンは過去最高の6位とランクアップ。さらなる躍進をめざす今リーグに向け、畠中ヘッドコーチは「チームを仕上げたい」と意気込みをみせる。リーグで最も若い陣容ながら、登録メンバー20 人中14 人が大卒メンバーとなり、高い技術、経験を持つプレーヤーが増え、戦力に厚みを増した。キャプテン中村、エース今村を中心に、成長著しい中島、芳仲、森光らで勝負を挑む。センター候補としてルーキー野田の加入もチームの刺激剤に。課題のディフェンス面に安定感を加え、上位陣を脅かす存在になりたい。

琉球コラソン

 今シーズンも選手1人ひとりがコートでのプレーだけでなく、チーム運営にも尽力しながら、果敢なチャレンジを続ける。前回は2勝1分11敗の7位。上位陣からは勝点を奪えずに終わったが、攻守ががっちりとかみ合った試合は、3点差、5点差といったゲームを展開。こうしたクロスゲームをモノにしたり、引き分けに持ち込んだりできるかがポイントになる。前回は相手のマークに苦しんだ村山、高田、水野裕紀らが奮起し、サイドでグンと成長した志慶真やトヨタ自動車から移籍のポストマン栗崎らとの力を絡めて飛躍を期している。

北陸電力

 左腕エース・桜井をケガで欠いて開幕を迎えた前回は、ピンチに不可欠な一体感を醸し出せないまま、スタートから苦戦の連続。浮上のキッカケをつかめず、1分13敗で最下位に終わった。苦しいシーズンを味わったが、今シーズンも見すえて戦ったことで、着実に戦力の底上げに成功。7月の全日本実業団でも豊田合成を破り、幸先のいいスタートを切っている。成長著しい長身ディフェンダー石塚の故障からの回復具合が気がかりだが、2年目のGK廣瀬やルーキー切越も台頭の気配。取り戻した一体感を全面に押し出してリベンジを誓う。

ソニーセミコンダクタ九州

 前回はレギュラーシーズン3位からのプレーオフ進出だったが、プレーオフでオムロン、北國銀行を撃破して悲願の初優勝。プレーオフ開催16回目にして、初めてレギュラーシーズン3位から勝ち上がっての女王と、新しい歴史を作った。リーグ初制覇で得た自信は大きく、7月の全日本実業団でも初優勝。田中、張素姫ら経験豊富な面々に、長野、高栖、工藤らの中堅や髙橋、黒木らの若手の力がミックスされて戦力は充実。郭惠靜監督の要所でのポイントを押さえた采配も光る。このまま一気に女王の座を不動のものとできるかに注目だ。

北國銀行

 前回のレギュラーシーズンは12勝1分2敗、直接対決でも1勝1分1敗で並んだオムロンを対戦間の得失点差で上回り1位通過でプレーオフへ。決勝でも優位に試合を進め、悲願の初優勝を目前にしながら、ソニーに逆転負け。「今回こそは!!」の執念にあふれるシーズンとなる。エース上町や守護神・田代、前回、ベストディフェンダー賞の中村やベストセブンの横嶋ら、充実の現有戦力に加え、リーグ復帰の屋嘉(元オムロン)らも加え、戦力はさらに厚みを増した。地力を信じ、接戦を勝ち切って、最高のフィナーレを迎えるのみだ。

オムロン

 5連覇をめざした前回は、プレーオフ準決勝でソニーに完敗。そこまで全日本実業団、国体、全日本総合とシーズンのタイトルを手にしてきた輝きも一気に失ってしまった。その屈辱から新たなスタートを切る今回は、洪廷昊、坂元、勝田ら、4連覇を支えたベテランが引退して迎えることになる。勝負所の経験や試合の中での相手への対応、ペース配分といった点で不安は残るものの、顔ぶれは藤間、藤井、東濱、巻、石立ら日本代表の中核となる選手ばかり。引退者の穴を感じさせないほどに個々が自立し、再び女王の座に返り咲くのみだ。

広島メイプルレッズ

 イズミ時代を含めリーグ7連覇を果たした時代をもう一度と、着々と戦力を整える段階。前回は5勝10敗の4位。上位3強とは善戦がやっとの戦いだった。そんな中で、コーチ兼任で復帰した7連覇時代の名手・呉成玉の存在は注目されるところ。身体的には全盛期に及ばないが、広い視野で周囲を操る力はさすが。ポストを使った攻撃などに反映されるだろうし、中堅、若手選手の覚醒、成長も促すことだろう。相乗効果で善戦どまりだった試合で勝点を奪えるならば、上位と下位がクッキリ色分けされたレギュラーシーズンも活性化するはずだ。

三重バイオレットアイリス

 前回は広島メイプルレッズに1勝2敗とわずかに先行され、5番手に留まったものの着実に地力アップ。上位3強との差を縮めていくのがテーマのシーズンとなる。日本代表の伊藤やGK毛利らに加え、175cm と大型の戎野ら、ルーキーもまじえての戦いとなる今回のリーグ。7月の全日本実業団は司令塔不在が響いて6位に甘んじたものの、その後、引退を表明していた高木(旧姓・橋本)が復帰。まとまりを取り戻したチームに、新任の緒方監督(元ソニー)が味つけを加えるリーグでの戦いで、本領発揮となりそうだ。

HC名古屋

 日々の練習も全員参加が難しいといった練習環境など、整備された上位陣とは大きな差があり、第31回大会を最後に、ここ3回のリーグは連続して15戦全敗という厳しい結果が出ている。それでも、スタッフ、セブンの意欲、ファイティングスピリットに陰りはない。前回、7mスロー阻止率賞に輝いたGK家城など、個々に光る存在もいる。4人のルーキーも加わって、活性化された力を余すところなく発揮してほしいもの。まずは広島メイプルレッズ、三重バイオレットアイリスをターゲットに、4大会ぶりの勝点奪取に全力を注ぐ。

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